好みの違い - NYとロンドン
- 2016年4月16日掲載分(ライティング仕事:納品コラムのコピーです)-
ナチュラルで自然を活かした風合いを好むロンドンとは異なって、NYではビビットな色合いでダイナミック・オリジナリティー溢れるデザインが好まれます。
どこにでもありふれた物ではない独創的な物… (時に奇抜な)アートを愛する街ならでは!と感じる瞬間が多くあります。
ローズ・紫陽花・ラン・ピオニー・チュベローズ(チュバローズ)など、ボリュームのあって色彩豊かなお花はニューヨーカーのお気に入りですが、芳香性の強いものとなるとぐっと存在価値が上がります。
お花はただ活けるだけのものではなく、目で見て香りを楽しみ、手で触感を確かめて、様々な楽しみ方があります。
マンハッタンにある花市場は、NYならでは!ビルに囲まれたエリアにって一見オフィス街の様な雰囲気。
フローリストや多方面のアーティストの方々等が早朝から買い出しに来るのですが、立地が良いだけにいわゆる市場とは少し異なり夕方まで開いているお店もあります。
金額は一般価格にはなりますが、日本と違って特別な免許が無くても購入は出来るお店もあります。
市場の中央にある有名なローズ専門店は、もう失神しそうなくらいの素敵な香りに包まれていて、フローリスト達が無数のバラの中に頭を近づけて必死に香りを嗅ぎまわっています。ずっと楽しんでいたいのは、みんな一緒。お気に入りのローズを探している姿は、幸せそのもの。
- NYとロンドン、好みの違い -
これはNYで店頭ディスプレイ用に作ったアレンジですが、国民性やその国ならではのお花のメッセージ性などで、好まれるスタイルや種類が変わる事はとても興味深く感じます。
例えば、写真のアレンジメントのオレンジ色のシンビジウムオーキッドですが、ロンドンではペタル(花びら)を一枚づつわざと手で開いて、ピンっと満開に見える様にして使用する事があります。
(写真に写っているペタルは、私がピンとさせています)
このタイプのオーキッドは自然の状態のままだと、一見少しくたっとして元気が無さそうに捉えられる事があるんです。
なので、ペタルをピンっと張ってあげてフレッシュでゴージャスに見せるのです。
一方NYではあまりにそうさせてしまうと、すぐに咲ききってしまって、自宅に持ち帰っても長持ちしなと思われてしまう事があります。
実際持ちは変わらないのですが、ビジュアルを大切にするアレンジメントにとって、プレゼンテーションの仕方はとても重要。
その土地ならではの好みに合わせる事で、お客様の満足度も変わってきます。
次に少し分かりづらいですが、アレンジ下部の花瓶の中を見てみて下さい。
このアレンジはブーケを作って花瓶の中に、すぽっといれています。本来であればガラスの花瓶の中からハンドル部分のステム(茎)部分が見えていますが、ハランの葉っぱで中が見えない様になっていますよね?
これはNYで好まれるスタイルです。
このブーケの主役はアレンジされている上部であるため、ステムが花瓶から見えているとスタイリッシュさに欠けます。
美しいアートは(お花の部分)目に映るそのままに、不要な部分(ステム・茎)は見えない様に配慮する…
This is NY, 美に対する考え方も徹底されています。
一方こちらの写真はロンドンです。自然なままの状態を美しいと考える事も多く、ステムがスパイラルになっている形状を「敢えて」ガラスの花瓶から見える様にしますが、これはアレンジメントそのものの全てを味合う為の粋な心意気です。
こちらの紫陽花はオフィスへの生け込みで、むき出しのステムにはクリアガラスを花瓶の中にあしらっています。
このスタイルはロンドンでは定番、ホテルなどのラグジュアアリーな場所でも茎部分は隠さず、作品の一部としてデコレーションされています。
お花を楽しむ瞬間は、目で見て・香りを楽しみ・季節を感じ・お花に込められた意味を受け取り…、
”お花がここにある” という気持ちになる事、それがお花を楽しめる瞬間だと思います。
ずっと眺めていたくなり、気分を高揚させてくれる…お花にはそういう大きなパワーがあると思います。